超微細構造におけるライトシフトの計算方法宇佐見大希2025年12月5日概要本稿では、原子物理学における角運動量の理論を基礎から解説し、それを用いて微細構造、超微細構造、ゼーマン効果、そしてライトシフト(ACシュタルク効果)といった現象を記述・計算する方法を詳述する。特に、球面テンソル演算子とWigner-Eckartの定理、6j記号などの高度な数学的ツールが、複雑な原子のエネルギー準位構造をいかにして明快に分析するかを示す。目次1角運動量 .......................................................................................... 11.1角運動量の合成: Clebsch-Gordan 係数 ........................................................ 21.2直交テンソル ................................................................................. 31.3球面テンソル ................................................................................. 41.3.11-rank 球面テンソル .................................................................... 41.3.22-rank 球面テンソル .................................................................... 51.4Wigner-Eckart の定理 ........................................................................ 51.5Wigner-6j 記号 ................................................................................ 62Fine Structure (微細構造) ........................................................................ 83Hyperfine Structure (超微細構造) ................................................................. 84Zeeman Shift (ゼーマンシフト) ................................................................... 95Light Shift (ライトシフト) ...................................................................... 115.1𝑇(𝑘)𝑞 の具体的な計算 ......................................................................... 125.2𝑈(𝑘)𝑞 の具体的な計算 ......................................................................... 135.3行列要素の計算 .............................................................................. 146.参考文献 ......................................................................................... 161 角運動量原子には軌道角運動量 𝑳、スピン 𝑺、核スピン 𝑰 の 3 つの角運動量があります。1Definition 1.1: 角運動量演算子 𝐽𝑥,𝐽𝑦,𝐽𝑧 とは回転群 𝑆𝑂(3) の生成子がなすリー代数 𝔰𝔬(3) の表現として定義される。 量子化軸を便宜的に 𝑧 軸に選ぶと、角運動量の演算子 𝑱2≔𝐽2𝑥+𝐽2𝑦+𝐽2𝑧 と 𝑧 成分 𝐽𝑧 は互いに交換するため、同時固有状態が存在する。この状態を角運動量量子数𝑗,𝑚 を用いて |𝑗𝑚⟩ と表す。この時、以下の関係式が成り立つ。𝑱2|𝑗𝑚⟩=𝑗(𝑗+1)ℎ2|𝑗𝑚⟩𝐽𝑧|𝑗𝑚⟩=𝑚ℎ|𝑗𝑚⟩𝐽±≔𝐽𝑥±𝑖𝐽𝑦𝐽±|𝑗𝑚⟩=ℎ√𝑗(𝑗+1)−𝑚(𝑚±1)|𝑗𝑚±1⟩ここで、𝐽± は昇降演算子と呼ばれる。量子数 𝑗 と 𝑚 には −𝑗≤𝑚≤𝑗 という関係があるため、固有状態の組 {|𝑗𝑚⟩}𝑗,−𝑗≤𝑚≤𝑗 は、ある 𝑗 に対応するヒルベルト空間 ℋ𝑗≔span({|𝑗𝑚⟩}𝑚) の完全正規直交基底をなす。慣例として、角運動量演算子そのものは大文字(例: 𝑱,𝐽𝑧)、その固有値に対応する量子数は小文字(例: 𝑗,𝑚)で表記します。1.1 角運動量の合成: Clebsch-Gordan 係数原子内部では、複数の角運動量が相互作用を及ぼし合います。例えば、電子のスピンと軌道角運動量が結合して全電子角運動量 𝑱=𝑳+𝑺 を形成したり、さらにそれが核スピンと結合して原子全体の全角運動量 𝑭=𝑱+𝑰 を形成します。これらの相互作用により、縮退していたエネルギー準位が分裂(微細構造、超微細構造)します。ここでは、これら角運動量の合成を統一的に扱う手法を述べます。2つの角運動量 𝑱1,𝑱2 を合成し、新しい角運動量 𝑱=𝑱1+𝑱2 を考えます。𝑱1 と 𝑱2 は互いに独立な空間で作用するため、交換関係 [𝐽1𝛼,𝐽2𝛽]=0 が成り立ちます。このとき、以下の性質が導かれます。1.𝑱21,𝑱22,𝐽1𝑧,𝐽2𝑧 は互いに交換可能な演算子の組である。その同時固有状態は、それぞれの固有状態のテンソル積 |𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩≔|𝑗1𝑚1⟩|𝑗2𝑚2⟩∈ℋ𝑗1⊗ℋ𝑗2 で与えられる。これを非結合描像の状態と呼ぶ。2.𝑱21,𝑱22,𝑱2,𝐽𝑧 もまた、互いに交換可能な演算子の組である。その同時固有状態を |𝑗𝑚⟩=|𝑗1𝑗2;𝑗𝑚⟩∈ℋ𝑗 と書く。これを結合描像の状態と呼ぶ。3.内積 ⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗′1𝑗′2;𝑗𝑚⟩ は、𝑗1=𝑗′1, 𝑗2=𝑗′2 かつ 𝑚1+𝑚2=𝑚 の場合にのみ非ゼロの値を持つ。4.合成された 𝑱 もまた、角運動量の交換関係を満たす。結合描像の状態は非結合描像の状態の線形結合で表すことができ、その変換係数はユニタリ行列をなします。|𝑗𝑚⟩=∑𝑚1+𝑚2=𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗𝑚⟩この変換係数 ⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗𝑚⟩ を Clebsch-Gordan 係数と呼びます。これは具体的に次のような複雑な式で与えられます。2⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗3𝑚3⟩=𝛿𝑚3,𝑚1+𝑚2√(𝑗1+𝑗2−𝑗3)!(𝑗1+𝑗3−𝑗2)!(𝑗2+𝑗3−𝑗1)!(𝑗1+𝑗2+𝑗3+1)!√(2𝑗3+1)(𝑗1+𝑚1)!(𝑗1−𝑚1)!(𝑗2+𝑚2)!(𝑗2−𝑚2)!(𝑗3+𝑚3)!(𝑗3−𝑚3)!∑𝑛max𝑛=𝑛min(−1)𝑛(𝑗1−𝑚1−𝑛)!(𝑗3−𝑗2+𝑚1+𝑛)!(𝑗2+𝑚2−𝑛)!(𝑗3−𝑗1−𝑚2+𝑛)!𝑛!(𝑗1+𝑗2−𝑗3−𝑛)!𝑛min=max(𝑗2−𝑗3−𝑚1,𝑗1+𝑚2−𝑗3,0)𝑛max=min(𝑗1−𝑚1,𝑗2+𝑚2,𝑗1+𝑗2−𝑗3)この表現は非常に長いため、より対称性の高いWignerの3j記号を用いて簡潔に表すのが一般的です。⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗3,𝑚3⟩=(−1)𝑗1−𝑗2+𝑚3√2𝑗3+1(𝑗1𝑚1𝑗2𝑚2𝑗3−𝑚3)1.2 直交テンソル物理量をテンソルとして扱うことで、座標回転に対する変換則を明確にすることができます。特に2階のテンソル 𝑇𝜇𝜈 は、その対称性に基づいて既約テンソルに分解することができます。具体的には、回転に対して不変なスカラー(0階テンソル)、ベクトルのように変換する部分(1階テンソル、反対称部分)、そしてより複雑な変換をする2階対称トレースレス部分の和として表現されます。𝑇𝜇𝜈=13𝑇(0)𝛿𝜇𝜈+14𝑇(1)𝜎𝜀𝜎𝜇𝜈+𝑇(2)𝜇𝜈ここで、各既約成分は以下のように定義されます。 𝑇(0) はテンソルのトレース(対角和)であり、スカラー量(0階テンソル)です。𝑇(0)=𝑇𝜇𝜇𝑇(1)𝜎 はテンソルの反対称部分から作られるベクトル(1階テンソル)成分です。ここで 𝜀𝜎𝜇𝜈 は3次元のレヴィ=チヴィタ記号です。𝑇(1)𝜎=𝜀𝜎𝜇𝜈(𝑇𝜇𝜈−𝑇𝜈𝜇)𝑇(2)𝜇𝜈 は対称かつトレースが0である2階テンソル成分です。𝑇(𝜇𝜈) は対称部分 𝑇𝜇𝜈+𝑇𝜈𝜇2 を表します。𝑇(2)𝜇𝜈=𝑇(𝜇𝜈)−13𝑇𝜎𝜎𝛿𝜇𝜈このように分解することで、物理的相互作用をその回転対称性に応じて分類し、体系的に扱うことが可能になります。31.3 球面テンソル角運動量の理論では、デカルト座標系に基づく直交テンソルよりも、回転に対して角運動量の固有状態と同様のシンプルな変換性を持つ球面テンソルを用いる方が遥かに便利です。 球面テンソルは、回転に対する変換性が角運動量の固有状態と同様になるように定義された演算子です。Definition 1.3.1: ランク 𝑘 の球面テンソル演算子 𝑇(𝑘)𝑞 とは、𝑞=−𝑘,−𝑘+1,…,𝑘 の 2𝑘+1 個の成分を持つ演算子の組であり、角運動量演算子 𝐽𝑧,𝐽± との間に以下の交換関係を満たすものである。[𝐽±,𝑇(𝑘)𝑞]=√(𝑘∓𝑞)(𝑘±𝑞+1)𝑇(𝑘)𝑞±1[𝐽𝑧,𝑇(𝑘)𝑞]=𝑞ℎ𝑇(𝑘)𝑞この定義は、𝑇(𝑘)𝑞 が角運動量状態 |𝑘𝑞⟩ と同じように回転することを示しています。例えば、軌道角運動量演算子 𝑳=𝒓×𝒑 の固有関数である球面調和関数 𝑌𝑙𝑚(𝜃,𝜑)=⟨𝜃𝜑|𝑙𝑚⟩ は、ランク 𝑙 の球面テンソルの代表的な例です。球面テンソル演算子は、エルミート共役に関して以下の性質を満たします。(𝑇(𝑘)𝑞)†=(−1)−𝑞𝑇(𝑘)−𝑞また、二つの球面テンソル 𝑇(𝑘1)𝑞1 と 𝑇(𝑘2)𝑞2 の積から、Clebsch-Gordan係数を用いて新しいランク 𝑘の球面テンソル 𝑇(𝑘)𝑞 を構成することができます。𝑇(𝑘)𝑞=∑𝑞1+𝑞2=𝑞𝑇(𝑘1)𝑞1𝑇(𝑘2)𝑞2⟨𝑘1𝑞1;𝑘2𝑞2|𝑘𝑞⟩これは角運動量の合成則と全く同じ形式です。𝑌𝑚𝑙(𝜃,𝜑)=∑𝑚1+𝑚2=𝑚𝑌𝑚1𝑙1(𝜃,𝜑)𝑌𝑚2𝑙2(𝜃,𝜑)⟨𝑙1𝑚1;𝑙2𝑚2|𝑙𝑚⟩1.3.1 1-rank 球面テンソル通常の3次元ベクトル 𝑨=𝐴𝑥𝒆𝑥+𝐴𝑦𝒆𝑦+𝐴𝑧𝒆𝑧 は、ランク1の直交テンソルと見なせます。これをランク1の球面テンソルに変換するには、以下の対応関係を用います。𝒆0≔𝒆𝑧,𝒆±1≔∓1√2(𝒆𝑥±𝑖𝒆𝑦)𝐴(1)0=𝐴𝑧,𝐴(1)±1=∓1√2(𝐴𝑥±𝑖𝐴𝑦)この逆変換は 𝐴𝑥=−1√2(𝐴1−𝐴−1),𝐴𝑦=𝑖√2(𝐴1+𝐴−1),𝐴𝑧=𝐴0 となります。 球面基底を用いると、ベクトル 𝑨 は以下のように表現されます。𝑨=∑𝑞(−1)𝑞𝐴𝑞𝒆−𝑞=−𝐴−1𝒆1+𝐴0𝒆0−𝐴1𝒆−14同様に、位置ベクトル 𝒓 を球座標 (𝑟,𝜃,𝜑) で表し、球面テンソル成分に変換すると次のようになります。これは球面調和関数 𝑌𝑚𝑙 に比例します。𝑟(1)0=𝑟cos𝜃,𝑟(1)±1=∓𝑟√2sin𝜃𝑒±𝑖𝜑原子に外部から印加される磁場などは、この1-rank球面テンソルとして扱うことで、計算の見通しが良くなります。1.3.2 2-rank 球面テンソル次に、二つのベクトル 𝑨 と 𝑩 のテンソル積 𝑇𝛼𝛽=𝐴𝛼𝐵𝛽 で定義される2階テンソルを考えます。このテンソルから、角運動量の合成則に従ってランク 𝑘=0,1,2 の球面テンソル 𝑇(𝑘)𝑞 を構成することができます。これは、ベクトルの内積や外積といった馴染み深い量と関連付けられます。𝑇(0)0=−1√3𝑨⋅𝑩=−1√3𝑨⋅𝑩𝑇(1)0=𝑖√2(𝑨×𝑩)0=𝑖√2(𝑨×𝑩)𝑧𝑇(1)±1=𝑖√2(𝑨×𝑩)±1=12(−(𝑨×𝑩)𝑦∓𝑖(𝑨×𝑩)𝑥)𝑇(2)0=1√6(𝐴1𝐵−1+2𝐴0𝐵0+𝐴−1𝐵1)=1√6(3𝐴𝑧𝐵𝑧−𝑨⋅𝑩)𝑇(2)±1=1√2(𝐴±1𝐵0+𝐴0𝐵±1)=∓12((𝐴𝑥𝐵𝑧+𝐴𝑧𝐵𝑥)±𝑖(𝐴𝑦𝐵𝑧+𝐴𝑧𝐵𝑦))𝑇(2)±2=𝐴±1𝐵±1=12((𝐴𝑥𝐵𝑥−𝐴𝑦𝐵𝑦)±𝑖(𝐴𝑥𝐵𝑦+𝐴𝑦𝐵𝑥))このように、2つのベクトルから作られる2階テンソルは、スカラー(0階)、ベクトル(1階、擬ベクトル)、そしてトレースレス対称テンソル(2階)の3つの既約な部分に分解されることがわかります。1.4 Wigner-Eckart の定理Wigner-Eckartの定理は、球面テンソル演算子の行列要素を計算する上で最も強力なツールの一つです。この定理により、行列要素を、系の物理的な性質に依存する部分(換算行列要素)と、座標系の取り方や向きといった幾何学的な性質に依存する部分(Clebsch-Gordan係数)とに分離することができます。これにより、計算が簡略化され、物理的な見通しが良くなります。Theorem 1.4.1 (Wigner-Eckart の定理): 角運動量の固有状態 |𝛼𝑗𝑚⟩ と |𝛼′𝑗′𝑚′⟩ の間での球面テンソル演算子 𝑇(𝑘)𝑞 の行列要素は、以下のように書ける。⟨𝛼𝑗𝑚|𝑇(𝑘)𝑞|𝛼′𝑗′𝑚′⟩=(−1)2𝑘⟨𝛼𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝛼′𝑗′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩ここで ⟨𝛼𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝛼′𝑗′⟩ は換算行列要素です。𝛼,𝛼′ は角運動量以外の量子数を表します。Proof: 状態 𝑇(𝑘)𝑞|𝛼′𝑗′𝑚′⟩ は、角運動量の合成則により、様々な角運動量状態の重ね合わせとして表現できる。5𝑇(𝑘)𝑞|𝛼′𝑗′𝑚′⟩=∑𝑘′𝑞′|̃𝛼𝑘′𝑞′⟩⟨𝑘′𝑞′|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩これに左から ⟨𝛼𝑗𝑚| を掛けると⟨𝛼𝑗𝑚|𝑇(𝑘)𝑞|𝛼′𝑗′𝑚′⟩=∑𝑘′𝑞′⟨𝛼𝑗𝑚|̃𝛼𝑘′𝑞′⟩⟨𝑘′𝑞′|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=⟨𝛼𝑗𝑚|̃𝛼𝑗𝑚⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=(−1)2𝑘⟨𝛼𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝛼′𝑗′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩ただし、換算行列要素を次のように定義した。⟨𝛼𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝛼′𝑗′⟩≔(−1)2𝑘⟨𝛼𝑗𝑚|̃𝛼𝑗𝑚⟩∎1.5 Wigner-6j 記号3つの角運動量 𝑱1,𝑱2,𝑱3 を合成する場合を考えます。合成の順番は任意ですが、どの順番で合成しても最終的な状態空間は同じになります。例えば、まず 𝑱1 と 𝑱2 を合成して 𝑱12 を作り、次に 𝑱3 と合成して全角運動量 𝑱 を作る方法と、先に 𝑱2 と 𝑱3 を合成して 𝑱23 を作り、次に 𝑱1 と合成する方法が考えられます。(𝑱1+𝑱2)+𝑱3=𝑱1+(𝑱2+𝑱3)これらの異なる合成順序で得られた基底同士は、ユニタリ変換で結ばれています。|𝑗12𝑗3;𝑗𝑚⟩=∑𝑚12+𝑚3=𝑚|𝑗12𝑚12;𝑗3𝑚3⟩⟨𝑗12𝑚12;𝑗3𝑚3|𝑗𝑚⟩=∑𝑚1+𝑚2+𝑚3=𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2;𝑗3𝑚3⟩⟨𝑗12𝑚12;𝑗3𝑚3|𝑗𝑚⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗12𝑚12⟩=∑𝑚1+𝑚2+𝑚3=𝑚𝑗23𝑚23𝑗′𝑚′|𝑗1𝑗23;𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗23𝑚23|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗2𝑚2;𝑗3𝑚3|𝑗23𝑚23⟩⟨𝑗12𝑚12;𝑗3𝑚3|𝑗𝑚⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗12𝑚12⟩⟨𝑗1𝑗23;𝑗𝑚|𝑗12𝑗3;𝑗𝑚⟩=∑𝑚1+𝑚2+𝑚3=𝑚𝑗23𝑚23⟨𝑗1𝑚1;𝑗23𝑚23|𝑗𝑚⟩⟨𝑗2𝑚2;𝑗3𝑚3|𝑗23𝑚23⟩⟨𝑗12𝑚12;𝑗3𝑚3|𝑗𝑚⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑗12𝑚12⟩この基底変換の係数は、Clebsch-Gordan係数の積の複雑な和で表されますが、これを簡潔にまとめたものがWigner 6𝑗 記号です。⟨𝑗1𝑗23;𝑗𝑚|𝑗12𝑗3;𝑗𝑚⟩≕(−1)𝑗1+𝑗2+𝑗3+𝑗√(2𝑗12+1)(2𝑗23+1){𝑗1𝑗3𝑗2𝑗𝑗12𝑗23}6𝑗 記号は、𝑚 量子数に依存せず、6つの角運動量量子数のみで決まります。これは、異なる結合スキーム間の幾何学的な関係を記述するものです。この6j記号を用いると、複合系における換算行列要素を、部分系の換算行列要素を用いて計算するための強力な公式を導くことができます。6Theorem 1.5.1: 複合系 𝑱=𝑱1+𝑱2 において、演算子 𝑻(𝑘) が部分系1にのみ作用する場合、その換算行列要素は以下のように計算できる。⟨𝑗1𝑗2;𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1𝑗′2;𝑗′⟩=𝛿𝑗2𝑗′2(−1)𝑗′+𝑗1+𝑗2+𝑘√(2𝑗′+1)(2𝑗1+1){𝑗1𝑗′𝑗′1𝑗𝑘𝑗2}⟨𝑗1‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1⟩同様に、演算子 𝑼(𝑘) が部分系2にのみ作用する場合は以下のようになる。⟨𝑗1𝑗2;𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1𝑗′2;𝑗′⟩=𝛿𝑗1𝑗′1(−1)𝑗+𝑗1+𝑗′2+𝑘√(2𝑗′+1)(2𝑗2+1){𝑗2𝑗′𝑗′2𝑗𝑘𝑗1}⟨𝑗2‖𝑻(𝑘)‖𝑗′2⟩Proof: 第一の式を導出する。左辺の換算行列要素を定義に従って行列要素の和で書き下す。⟨𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝑗′⟩=(−1)2𝑘∑𝑚′𝑞⟨𝑗𝑚|𝑇(𝑘)𝑞|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=(−1)2𝑘∑𝑚′𝑞𝑚1𝑚2𝑚′1𝑚′2⟨𝑗𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩⟨𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2|𝑇(𝑘)𝑞|𝑗′1𝑚′1;𝑗′2𝑚′2⟩⟨𝑗′1𝑚′1;𝑗′2𝑚′2|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=(−1)2𝑘∑𝑚′𝑞𝑚1𝑚2𝑚′1𝑚′2⟨𝑗𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩⟨𝑗1𝑚1|𝑇(𝑘)𝑞|𝑗′1𝑚′1⟩𝛿𝑗2𝑗′2𝛿𝑚2𝑚′2⟨𝑗′1𝑚′1;𝑗′2𝑚′2|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=(−1)2𝑘𝛿𝑗2𝑗′2∑𝑚′𝑞𝑚1𝑚2𝑚′1⟨𝑗𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩⟨𝑗1𝑚1|𝑇(𝑘)𝑞|𝑗′1𝑚′1⟩⟨𝑗′1𝑚′1;𝑗2𝑚2|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=(−1)2𝑘𝛿𝑗2𝑗′2∑𝑚′𝑞𝑚1𝑚2𝑚′1⟨𝑗𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩(−1)2𝑘⟨𝑗1‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1⟩⟨𝑗1𝑚1|𝑗′1𝑚′1;𝑘𝑞⟩⟨𝑗′1𝑚′1;𝑗2𝑚2|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩=𝛿𝑗2𝑗′2∑𝑚′𝑞𝑚1𝑚2𝑚′1⟨𝑗𝑚|𝑗1𝑚1;𝑗2𝑚2⟩⟨𝑗1𝑚1|𝑗′1𝑚′1;𝑘𝑞⟩⟨𝑗′1𝑚′1;𝑗2𝑚2|𝑗′𝑚′⟩⟨𝑗𝑚|𝑗′𝑚′;𝑘𝑞⟩⟨𝑗1‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1⟩=𝛿𝑗2𝑗′2(−1)𝑗′−𝑗1+𝑘−𝑗2−2𝑗√(2𝑗′+1)(2𝑗1+1){𝑗1𝑗′𝑗′1𝑗𝑘𝑗2}⟨𝑗1‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1⟩2(𝑗1+𝑗2+𝑗) が偶数であるからそれを指数に足すことで式が示された。⟨𝑗‖𝑻(𝑘)‖𝑗′⟩=𝛿𝑗2𝑗′2(−1)𝑗′+𝑗1+𝑘+𝑗2√(2𝑗′+1)(2𝑗1+1){𝑗1𝑗′𝑗′1𝑗𝑘𝑗2}⟨𝑗1‖𝑻(𝑘)‖𝑗′1⟩∎その他、頻繁に利用される有用な公式を以下に示す。 [1]7⟨𝐽′‖𝑇(𝑘)‖𝐽⟩=(−1)𝐽′−𝐽√2𝐽+12𝐽′+1⟨𝐽‖𝑇(𝑘)‖𝐽′⟩∗⟨𝑗𝑚|𝑻(𝑘)⋅𝑼(𝑘)|𝑗′𝑚′⟩=𝛿𝑚𝑚′⟨𝑗‖𝑇(𝑘)⋅𝑈(𝑘)‖𝑗′⟩=𝛿𝑚𝑚′𝛿𝑗𝑗′(−1)𝑗1+𝑗2+𝑗√(2𝑗1+1)(2𝑗2+1){𝑗𝑘𝑗2𝑗1𝑗1𝑗2}⟨𝑗1‖𝑇(𝑘)‖𝑗′1⟩⟨𝑗2‖𝑈(𝑘)‖𝑗′2⟩⟨𝑗‖𝑻(𝑘1)𝑼(𝑘2)‖𝑗′⟩=(−1)𝑘+𝑗+𝑗′∑𝑗″√(2𝑗″+1)(2𝑘+1){𝑘1𝑗′𝑘2𝑗𝑘𝑗″}⟨𝑗‖𝑻(𝑘1)‖𝑗″⟩⟨𝑗″‖𝑼(𝑘2)‖𝑗′⟩∑𝑗(2𝑗+1)(2𝑗″+1){𝑗1𝑗3𝑗2𝑗4𝑗𝑗′}{𝑗1𝑗3𝑗2𝑗4𝑗𝑗″}=𝛿𝑗′𝑗″2 Fine Structure (微細構造)原子のエネルギー準位を大まかに見ると、主量子数 𝑛 と軌道角運動量量子数 𝐿 で決まるが、より詳しく観測すると、これらの準位がさらに僅かに分裂していることがわかる。これを微細構造と呼ぶ。これは相対論的効果の一種であり、主に電子の全スピン角運動量 𝑺 と全軌道角運動量 𝑳 との間のスピン-軌道相互作用に起因する。この相互作用ハミルトニアンは以下のように表される。𝐻fs=𝜉(𝑟)𝑳⋅𝑺ここで、𝜉(𝑟) は動径に依存する関数で、スピン-軌道相互作用の強さを決定する。全電子角運動量 𝑱=𝑳+𝑺 を導入すると、内積 𝑳⋅𝑺 は次のように書き換えられる。𝑳⋅𝑺=12(𝑱2−𝑳2−𝑺2)このハミルトニアンは 𝑱2,𝑳2,𝑺2 と交換するため、𝐽,𝐿,𝑆 は良い量子数となる。その結果、エネルギーシフトは 𝐽(𝐽+1)−𝐿(𝐿+1)−𝑆(𝑆+1) に比例し、同じ 𝐿,𝑆 を持つ準位が 𝐽 の値に応じて分裂する。3 Hyperfine Structure (超微細構造)微細構造よりもさらに精密にエネルギースペクトルを観測すると、準位がさらに微小に分裂していることがわかる。これを超微細構造と呼び、原子核の性質、特に核スピン 𝑰 と電子状態との相互作用に起因する。 主な相互作用は、原子核の磁気双極子モーメントと電子が作る磁場との相互作用、および原子核の電気四重極モーメントと原子内の電場勾配との相互作用である。分子の場合はさらに複雑な相互作用が関与することもある。これらの相互作用を含む超微細構造ハミルトニアン 𝐻hfs は、電子に作用するランク 𝑘 の球面テンソル演算子 𝑇(𝑘)𝑒 と、原子核に作用する同様の演算子 𝑇(𝑘)𝑛 のスカラー積の和として一般的にモデル化できる。[2]𝐻hfs=∑𝑘𝑇(𝑘)𝑒⋅𝑇(𝑘)𝑛ここで、𝑘=1が磁気双極子、𝑘=2が電気四重極、𝑘=3が磁気八極子相互作用に対応する。𝑘=0 の単極子項は、通常、中心力ポテンシャルの一部として扱われる。 超微細構造を考える際には、電子の全角8運動量 𝑱 と核スピン 𝑰 を合成した原子全体の全角運動量 𝑭=𝑱+𝑰 が重要になる。状態を |𝐽𝐼𝐹𝑚𝐹⟩と表し、この基底でハミルトニアン 𝐻hfs の対角成分、すなわちエネルギー補正を計算する。Wigner-Eckartの定理と6j記号の公式を用いると簡単に計算できる。⟨𝐽𝐼𝐹|𝐻hfs|𝐽𝐼𝐹⟩=∑𝑘⟨𝐽𝐼𝐹|𝑇(𝑘)𝑒⋅𝑇(𝑘)𝑛|𝐽𝐼𝐹⟩=∑𝑘(−1)𝐽+𝐼+𝐹√(2𝐽+1)(2𝐼+1){𝐹𝑘𝐼𝐽𝐽𝐼}⟨𝐽‖𝑇(𝑘)𝑒‖𝐽⟩⟨𝐼‖𝑇(𝑘)𝑛‖𝐼⟩=∑𝑘(−1)𝐽+𝐼+𝐹{𝐹𝑘𝐼𝐽𝐽𝐼}(𝐽−𝐽𝑘0𝐽𝐽)(𝐼−𝐼𝑘0𝐼𝐼)⟨𝐽|𝑇(𝑘)𝑒|𝐽⟩⟨𝐼|𝑇(𝑘)𝑛|𝐼⟩𝐴𝑘 を電子部分と原子核部分の行列要素の積で定義する。𝐴𝑘≔⟨𝐽|𝑇(𝑘)𝑒|𝐽⟩⟨𝐼|𝑇(𝑘)𝑛|𝐼⟩この時 𝐴𝑘 は超微細構造定数 𝐴hfs,𝐵hfs,𝐶hfs と関連付けられる。𝐴1=𝐴hfs𝐼𝐽𝐴2=𝐵hfs4𝐴3=𝐶hfsここで、𝐾≔𝐹(𝐹+1)−𝐽(𝐽+1)−𝐼(𝐼+1) という量を導入すると、超微細構造によるエネルギーシフトは以下のように具体的に書き下せます。⟨𝐽𝐼𝐹|𝐻hfs|𝐽𝐼𝐹⟩=𝐴hfs𝐾2+𝐵hfs3(𝐾2)2+32(𝐾2)−𝐼(𝐼+1)𝐽(𝐽+1)2𝐼(2𝐼−1)𝐽(2𝐽−1)+𝐶hfs10(𝐾2)3+20(𝐾2)2+2(𝐾2)[−3𝐼(𝐼+1)𝐽+1+𝐼(𝐼+1)+3𝐽−5𝐼(𝐼+1)𝐽+1]𝐼(𝐼−1)(2𝐼−1)𝐽(𝐽−1)(2𝐽−1)4 Zeeman Shift (ゼーマンシフト)外部から静磁場 𝑩 をかけると、原子のエネルギー準位が磁場の強さに応じて分裂する。この現象をゼーマン効果といい、そのエネルギーシフトをゼーマンシフトと呼ぶ。この相互作用は、電子の磁気モーメント 𝝁𝐽 と原子核の磁気モーメント 𝝁𝐼 の両方が、外部磁場と相互作用することによって生じる。ハミルトニアン 𝐻𝐵 は以下のように表される。𝐻𝐵=−(𝝁𝐽+𝝁𝐼)⋅𝑩=𝜇𝐵ℎ(𝑔𝐽𝑱+𝑔𝐼𝑰)⋅𝑩ここで、𝜇𝐵 はボーア磁子、𝑔𝐽 は電子のランデのg因子、𝑔𝐼 は核のg因子である。このハミルトニアンを行列表示するために、角運動量演算子と磁場ベクトルを1-rankの球面テンソル形式で表すと便利である。9𝐽(1)0=𝐽𝑧𝐽(1)±1=∓1√2(𝐽𝑥±𝑖𝐽𝑦)=∓1√2𝐽±𝐵(1)0=𝐵cos𝜃𝐵(1)±1=∓1√2𝐵sin𝜃𝑒±𝑖𝜑これを用いて、ハミルトニアン 𝐻𝐵 の行列要素 ⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻𝐵|𝐹′𝑚′𝐹⟩ を計算します。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻𝐵|𝐹′𝑚′𝐹⟩=𝜇𝐵ℎ∑𝑞(−1)𝑞⟨𝐹𝑚𝐹|𝑔𝐽𝐽(1)𝑞+𝑔𝐼𝐼(1)𝑞|𝐹′𝑚′𝐹⟩𝐵(1)−𝑞ここで、角運動量演算子の行列要素は Wigner-Eckart の定理を用いて、⟨𝐹𝑚𝐹|𝐽(1)𝑞|𝐹′𝑚′𝐹⟩=−⟨𝐹‖𝑱(1)‖𝐹′⟩⟨𝐹𝑚𝐹|𝐹′𝑚′𝐹;1𝑞⟩=(−1)𝐹′+𝑚𝐹√2𝐹+1(𝐹′𝑚′𝐹1𝑞𝐹−𝑚𝐹)⟨𝐹‖𝑱(1)‖𝐹′⟩さらに、複合系の換算行列要素 ⟨𝐹‖𝑱(1)‖𝐹′⟩ は、6j記号を用いて部分系の換算行列要素で表すことができる。⟨𝐹‖𝑱(1)‖𝐹′⟩=𝛿𝐼𝐼′(−1)𝐹′+𝐽+𝐼+1√(2𝐹′+1)(2𝐽+1){𝐽𝐹′𝐽′𝐹1𝐼}⟨𝐽‖𝑱(1)‖𝐽′⟩⟨𝐽‖𝑱(1)‖𝐽′⟩=𝛿𝐽𝐽′√𝐽(𝐽+1)(2𝐽+1)これらの関係式を組み合わせることで、ゼーマンハミルトニアンの行列要素が以下のように得られます。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻𝐵|𝐹′𝑚′𝐹⟩=𝛿𝐽𝐽′𝛿𝐼𝐼′𝜇𝐵ℎ∑𝑞(−1)𝑞𝐵(1)−𝑞×(−1)𝐹′+𝑚𝐹√(2𝐹+1)(2𝐹′+1)(𝐹′𝑚′𝐹1𝑞𝐹−𝑚𝐹)×[𝑔𝐽(−1)𝐹′+𝐽+𝐼+1√𝐽(𝐽+1)(2𝐽+1){𝐽𝐹′𝐽𝐹1𝐼}+𝑔𝐼(−1)𝐹+𝐽+𝐼+1√𝐼(𝐼+1)(2𝐼+1){𝐼𝐹′𝐼𝐹1𝐽}]特に、磁場が弱い領域での対角成分(エネルギーシフト)は、次のように簡潔な形で表される。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻𝐵|𝐹𝑚𝐹⟩=𝜇𝐵ℎ𝑔𝐹𝑚𝐹𝐵𝑧ここで、𝑔𝐹 は合成系のランデのg因子であり、次のように定義されます。𝑔𝐹≔𝑔𝐽𝐹(𝐹+1)+𝐽(𝐽+1)−𝐼(𝐼+1)2𝐹(𝐹+1)+𝑔𝐼𝐹(𝐹+1)−𝐽(𝐽+1)+𝐼(𝐼+1)2𝐹(𝐹+1)105 Light Shift (ライトシフト)ライトシフト(またはACシュタルク効果)は、原子が非共鳴な光電場にさらされたときに生じるエネルギー準位のシフトです。この相互作用は、原子の電気双極子モーメント 𝒅=−𝑒𝒓𝑒 と光の電場 𝑬との相互作用ハミルトニアン 𝐻AF で記述されます。𝐻AF=−𝒅⋅𝑬この相互作用によるエネルギーシフト Δ𝐸𝛼 は、摂動論を用いて計算できます。通常、2次の摂動までを考慮します。Δ𝐸𝛼=⟨𝛼|𝐻AF|𝛼⟩+∑𝛽|⟨𝛼|𝐻AF|𝛽⟩|2𝐸𝛼−𝐸𝛽多くの場合、電気双極子モーメント演算子 𝒅 は奇パリティを持つため、同じパリティの状態間の行列要素 ⟨𝛼|𝐻AF|𝛼⟩ (1次の摂動項)はゼロになります。したがって、エネルギーシフトは主に2次の摂動項で与えられます。 この2次の摂動項を記述するために、有効ハミルトニアン 𝐻Stark を定義することができます。𝐻Stark≔∑𝛽𝑑𝜇|𝛽⟩⟨𝛽|𝑑𝜈𝐸𝛼−𝐸𝛽𝐸𝜇𝐸𝜈このとき、エネルギーシフトは Δ𝐸𝛼=⟨𝛼|𝐻Stark|𝛼⟩ となります。 以下では、この 𝐻Stark の非対角成分も含めた効果を、超微細状態 |𝐹𝑚𝐹⟩ を基底として考えます。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻Stark|𝐹″𝑚″𝐹⟩=−Re(𝛼𝜇𝜈(𝐹𝑚𝐹;𝜔))(𝐸(−))𝜇(𝐸(+))𝜈=−∑𝐹′2𝜔𝐹′𝐹ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)×𝑇𝜇𝜈𝑈𝜇𝜈ここで、𝑇𝜇𝜈 は双極子モーメント演算子の積の和、𝑈𝜇𝜈 電場の積で定義されるテンソルです。𝑇𝜇𝜈≔∑𝑚′𝐹⟨𝐹𝑚𝐹|𝑑𝜇|𝐹′𝑚′𝐹⟩⟨𝐹′𝑚′𝐹|𝑑𝜈|𝐹″𝑚″𝐹⟩𝑈𝜇𝜈≔𝐸(−)𝜇𝐸(+)𝜈この 𝑇𝜇𝜈 を既約球面テンソル成分 𝑇(0),𝑇(1)𝑞,𝑇(2)𝑞 に分解し、Wigner-Eckartの定理を適用して換算行列要素で表します。11𝑇(𝑘)𝑞=⟨𝐹𝑚𝐹|∑𝑚′𝐹𝑑𝜇|𝐹′𝑚′𝐹⟩⟨𝐹′𝑚′𝐹|𝑑𝜈|𝐹″𝑚″𝐹⟩(𝑘)𝑞=(−1)2𝑘⟨𝐹‖𝒅∑𝑚′𝐹|𝐹′𝑚′𝐹⟩⟨𝐹′𝑚′𝐹|𝒅‖𝐹″⟩⟨𝐹𝑚𝐹|𝐹″𝑚″𝐹;𝑘𝑞⟩=(−1)3𝑘+𝐹+𝐹″√(2𝐹′+1)(2𝑘+1){1𝐹″1𝐹𝑘𝐹′}⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩⟨𝐹′‖𝒅‖𝐹″⟩⟨𝐹𝑚𝐹|𝐹″𝑚″𝐹;𝑘𝑞⟩=(−1)3𝑘+𝐹+𝐹′√(2𝐹″+1)(2𝑘+1){1𝐹″1𝐹𝑘𝐹′}⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩⟨𝐹″‖𝒅‖𝐹′⟩∗⟨𝐹𝑚𝐹|𝐹″𝑚″𝐹;𝑘𝑞⟩次に電場に関するテンソル積 𝑈𝜇𝜈 に関して球面テンソルで表現する。 光が 𝑥𝑧 平面内を 𝑧 軸から角度 𝜃 をなして進行しているとすると電場は Jones ベクトルを用いて次のようになる。𝐸𝑥=𝐸𝑝𝑥cos𝜃𝐸𝑦=𝐸𝑝𝑦𝐸𝑧=−𝐸𝑝𝑥sin𝜃これより球面テンソルで表すと𝐸0=−𝐸𝑝𝑥sin𝜃𝐸±1=∓𝐸√2(𝑝𝑥cos𝜃±𝑖𝑝𝑦)これを 2-rank 直交テンソルを球面テンソルに書き換える式を用いて 𝑈(𝑘)𝑞 が計算される。 𝑇(𝑘)𝑞 𝑈(𝑘)𝑞の結果を組み合わせることで最終的なエネルギーシフトが得られる。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻Stark|𝐹″𝑚″𝐹⟩=−∑𝐹′2𝜔𝐹′𝐹ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)∑𝑘,𝑞(−1)𝑞𝑇(𝑘)𝑞𝑈(𝑘)−𝑞5.1 𝑇(𝑘)𝑞 の具体的な計算𝑇(𝑘)𝑞 に関して今回計算するのは磁気副準位間の非対角項であるので 𝐹=𝐹″ とおく。𝑇(𝑘)𝑞=(−1)3𝑘+𝐹+𝐹′√(2𝐹+1)(2𝑘+1){1𝐹1𝐹𝑘𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2⟨𝐹𝑚𝐹|𝐹𝑚″𝐹;𝑘𝑞⟩Clebsch-Gordan 係数を展開すると次のようになる。12⟨𝐹𝑚𝐹;00|𝐹𝑚′𝐹⟩=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹⟨𝐹𝑚𝐹;10|𝐹𝑚′𝐹⟩=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹𝑚𝐹√𝐹(𝐹+1)⟨𝐹𝑚𝐹;1±1|𝐹𝑚′𝐹⟩=∓𝛿𝑚𝐹±1,𝑚′𝐹√(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)2𝐹(𝐹+1)⟨𝐹𝑚𝐹;20|𝐹𝑚′𝐹⟩=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹3𝑚2𝐹−𝐹(𝐹+1)√𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3)⟨𝐹𝑚𝐹;2±1|𝐹𝑚′𝐹⟩=∓𝛿𝑚𝐹±1,𝑚′𝐹(2𝑚𝐹±1)√3(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)2𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3)⟨𝐹𝑚𝐹;2±2|𝐹𝑚′𝐹⟩=𝛿𝑚𝐹±2,𝑚′𝐹√3(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹∓𝑚𝐹−1)(𝐹±𝑚𝐹+1)(𝐹±𝑚𝐹+2)2𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3)これより𝑇(0)0=(−1)𝐹+𝐹′√2𝐹+1{1𝐹1𝐹0𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2=−1√3|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2𝑇(1)0=(−1)1+𝐹+𝐹′𝑚𝐹√3(2𝐹+1)𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2𝑇(1)±1=∓(−1)1+𝐹+𝐹′√3(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)2𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2𝑇(2)0=(−1)𝐹+𝐹′(3𝑚2𝐹−𝐹(𝐹+1))√5(2𝐹+1)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2𝑇(2)±1=∓(−1)𝐹+𝐹′(2𝑚𝐹±1)√15(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)2𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2𝑇(2)±2=(−1)𝐹+𝐹′√15(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹∓𝑚𝐹−1)(𝐹±𝑚𝐹+1)(𝐹±𝑚𝐹+2)2𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|25.2 𝑈(𝑘)𝑞 の具体的な計算それぞれの電場成分について定義は次のようであった。𝐸0=−𝐸𝑝𝑥sin𝜃𝐸±1=∓𝐸√2(𝑝𝑥cos𝜃±𝑖𝑝𝑦)これを用いて 2-rank 球面テンソルの章で与えられた式に代入して計算する。13𝑈(0)0=−1√3|𝑬|2𝑈(1)0=1√2(|𝐸−1|2−|𝐸+1|2)𝑈(1)+1=𝐸0𝐸∗+1−𝐸0𝐸∗−1𝑈(1)−1=𝐸∗0𝐸−1−𝐸∗0𝐸+1𝑈(2)0=1√6(3|𝐸0|2−|𝑬|2)𝑈(2)+1=√2𝐸0𝐸∗+1𝑈(2)−1=−√2𝐸∗0𝐸−1𝑈(2)+2=−𝐸+1𝐸∗−1𝑈(2)−2=−𝐸−1𝐸∗+1電場の球面テンソルに対する意味付けは 𝜋 偏光を 𝜃=𝜋2 から入れた時 𝐸0 成分のみ、𝜎± 偏光を 𝜃=0 から入れたとき 𝐸±1 成分のみが出現するようなテンソルである。 異なる入射角から入れた偏光は電場テンソルとの関係性を考えることで次のようになる。𝐸0𝐸+1𝐸−1𝜋 偏光−√𝐼0sin𝜃−√𝐼02cos𝜃√𝐼02cos𝜃𝜎+ 偏光−√𝐼02sin𝜃−√𝐼02(cos𝜃−1)√𝐼02(cos𝜃+1)𝜎− 偏光−√𝐼02sin𝜃−√𝐼02(cos𝜃+1)√𝐼02(cos𝜃−1)5.3 行列要素の計算𝑉(𝑘,𝑞)=−∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)∑𝑞(−1)𝑞𝑇(𝑘)𝑞𝑈(𝑘)−𝑞 とおくと、各成分は以下のように計算される。𝑉(0,0)=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹∑𝐹′2𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝑑‖𝐹′⟩|23ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)|𝑬|2𝑉(1,0)=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝑑‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′√6(2𝐹+1)𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}(|𝐸−1|2−|𝐸+1|2)𝑚𝐹𝑉(1,±1)=𝛿𝑚𝐹±1,𝑚′𝐹∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′√6(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}𝑈(1)∓1𝑉(2,0)=𝛿𝑚𝐹,𝑚′𝐹∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′+1(3𝑚2𝐹−𝐹(𝐹+1))√10(2𝐹+1)3𝐹(2𝐹−1)(𝐹+1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}(3|𝐸0|2−|𝑬|2)𝑉(2,±1)=𝛿𝑚𝐹±1,𝑚′𝐹∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(∓1)(−1)𝐹+𝐹′(2𝑚𝐹±1)√30(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹±𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}𝑈(2)∓1𝑉(2,±2)=𝛿𝑚𝐹±2,𝑚′𝐹∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′√30(2𝐹+1)(𝐹∓𝑚𝐹)(𝐹∓𝑚𝐹−1)(𝐹±𝑚𝐹+1)(𝐹±𝑚𝐹+2)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}𝑈(2)∓2この結果からスカラー分極率 𝛼(0)、ベクトル分極率 𝛼(1)、テンソル分極率 𝛼(2) を次のように定義できます。14𝛼0(𝐹;𝜔)=∑𝐹′2𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝑑‖𝐹′⟩|23ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)𝛼1(𝐹;𝜔)=∑𝐹′(−1)𝐹+𝐹′+1√6𝐹(2𝐹+1)𝐹+1{1𝐹1𝐹1𝐹′}𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝑑‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)𝛼2(𝐹;𝜔)=∑𝐹′(−1)𝐹+𝐹′√40𝐹(2𝐹+1)(2𝐹−1)3(𝐹+1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝑑‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)これより対角項は次のようになります。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻Stark|𝐹𝑚𝐹⟩=−𝛼0(𝐹;𝜔)|𝑬|2−𝛼1(𝐹;𝜔)(|𝐸−1|2−|𝐸+1|2)𝑚𝐹𝐹−𝛼2(𝐹;𝜔)3|𝐸0|2−|𝑬|223𝑚2𝐹−𝐹(𝐹+1)𝐹(2𝐹−1)また非対角項は次のようになります。⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻Stark|𝐹𝑚𝐹±1⟩=∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′(((√6(2𝐹+1)(𝐹−𝑚𝐹)(𝐹+𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}(𝐸∗0𝐸−1−𝐸∗0𝐸+1)+√6(2𝐹+1)(𝐹+𝑚𝐹)(𝐹−𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1){1𝐹1𝐹1𝐹′}(𝐸0𝐸∗+1−𝐸0𝐸∗−1)+(2𝑚𝐹+1)√30(2𝐹+1)(𝐹−𝑚𝐹)(𝐹+𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}√2𝐸∗0𝐸−1+(2𝑚𝐹−1)√30(2𝐹+1)(𝐹+𝑚𝐹)(𝐹−𝑚𝐹+1)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}√2𝐸0𝐸∗+1)))⟨𝐹𝑚𝐹|𝐻Stark|𝐹𝑚𝐹±2⟩=∑𝐹′𝜔𝐹′𝐹|⟨𝐹‖𝒅‖𝐹′⟩|2ℎ(𝜔2𝐹′𝐹−𝜔2)(−1)𝐹+𝐹′+1(((√30(2𝐹+1)(𝐹−𝑚𝐹)(𝐹−𝑚𝐹−1)(𝐹+𝑚𝐹+1)(𝐹+𝑚𝐹+2)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}𝐸−1𝐸∗+1+√30(2𝐹+1)(𝐹+𝑚𝐹)(𝐹+𝑚𝐹−1)(𝐹−𝑚𝐹+1)(𝐹−𝑚𝐹+2)𝐹(𝐹+1)(2𝐹−1)(2𝐹+3){1𝐹1𝐹2𝐹′}𝐸+1𝐸∗−1)))それぞれの物理的意味としては fictitious 磁場は対角項のベクトル成分が対応しています。−𝛼1(𝐹;𝜔)(|𝐸−1|2−|𝐸+1|2)𝑚𝐹𝐹これは 𝜎± 偏光強度差に応じて磁気副準位に対して線形にシフトします。次に 𝜃=𝜋2 から 𝜋 偏光を当てたときは非対角項のテンソル成分は影響しないので状態は混合せず、平行に当てると 𝐸±1 成分に分解されるため、状態が混合します。15図 1: 量子化軸に対して平行・垂直に 𝜋 偏光を当てた時のライトシフト図 2: 量子化軸に対して平行・垂直に 𝜎− 偏光を当てた時のライトシフト図 3: 量子化軸に対して平行・垂直に 𝜎+ 偏光を当てた時のライトシフト6. 参考文献[1]D. A. Steck, 「Quantum and Atom Optics」.[2]C. Schwartz, 「Theory of Hyperfine Structure」, Physical Review, vol. 97, no. 2, pp. 380–395, 1月1955, doi: 10.1103/PhysRev.97.380.16